書評
—牧 豊・久留 裕 編集—神経放射線学I,II
平山 恵造
1
1千葉大学神経内科
pp.56
発行日 1980年1月1日
Published Date 1980/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204526
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- 文献概要
本書は神経放射線学の我が国で唯一のまとまつた専門書ということができる。今までにも,神経放射線学の部分的な単行本や,他の専門領域の書物の中に検査法の一部として神経放射線学が記述されたものはあつたが,此度,牧豊,久留裕両教授の編集により,神経放射線学が一つにまとめられたことは,我々臨床神経学(神経内科)を専攻するものにとつても極めて有用である。
本書は2巻からなり,I巻は,I頭蓋単純撮影,II頭部CT,III脊椎撮影および脊髄造影,IV脳血管造影からなり検査方法別に組まれている。II巻は,I脳腫瘍,II脳血管障害,III頭部外傷,IV脳萎縮性疾患,V脳奇形〔付〕気脳造影からなつていて主として疾患別の記述になつている。我々が実際に神経放射線学的検査を行うとき,一つはその手技の確実さを含めた実施方法の問題があり,他の一つは,どの種の検査を選択するかの問題がある。およそI巻は前者に対応し,II巻は後者に示唆を与えるものとみてよい。各章,項の執筆者はそれぞれの分担において現在日本での第一人者ときており,またそこに掲げられている図も豊富であると共に,鮮明で,神経放射線学の最終的な目標,すなわち所見を知る上での条件を満たしている。
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