教室だより
久留米大学
鈴木 卓
1
1久留米大学
pp.588
発行日 1967年6月20日
Published Date 1967/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200199
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わが泌尿器科学教室の歴史は,昭和3年8月1日,皮膚科泌尿器科学教室として発足したのに始まる。初代布施四郎教授は18年間,円満なる性格と卓越せる知識により教室の基礎を築かれたのである。昭和21年に御退任,今なお,市内の御自宅でお元気に診療を続けておられる。次いで第2代樋口謙太郎教授が御就任になられたが,昭和23年九大教授として御転出になり,翌24年,第3代重松俊教授をお迎えして現在に至つている。
重松教授は久留米大学の第1回生であり,また最初の教授として本学の歴史に新たな1頁を飾つたのである。当時44才の若さで母校に帰つてこられた教授は,私学特有の苦灘,辛酸にもめげず,母校のため教室のために御努力をはらわれ,乏しい研究設備,少ない研究費の中で,もちまえの情熱と忍耐力で研究一途に邁進されたことは言語に絶するものがあるとうけたまわつている。そして昭和30年,皮膚科泌尿器科が分離独立し,泌尿器科学教室の初代教授として新しく出発したのである。昨年11月には還暦を迎えられたが,ますますお元気で陣頭指揮をされていることは,教室として誠に心強い限りである。この間同門の数は200名に達し,原著は373編の多くを数えている。研究のテーマとして電子顕微鏡学的研究には早くからとりくみ,その業績は学会でも高く評価されている。主なものを挙げると,腎結石の発生起点の究明,特発性腎出血の電顕像,膀胱粘膜機能の研究等がある。
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