特集 SUN☺D臨床試験のインパクト—日本初の医師主導型抗うつ薬大規模臨床試験から学ぶ
SUN☺D臨床試験に参加して行った工夫
久留米大学病院から
安元 眞吾
1
1久留米大学医学部神経精神医学講座
pp.54-55
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205978
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久留米大学病院では私を含め,外来医長が中心となって,SUN☺D研究を進めていました。初診の患者さんは,まず外来医長が紹介状に目を通して各担当医に振り分けますが,その時点でSUN☺Dの適応となる患者かどうかについておおざっぱに見立てます。適応となりそうな患者であれば,担当医に対し,可能であればSUN☺Dへの組み入れをお願いします。
実際には大学病院を受診する患者さんは,すでにうつ病の治療を受けているがうまくいっていない方が多く,抑うつで紹介され治療を行われていない方は少数でした。一方,大学病院は身体合併症のある方が他科から紹介されて受診することが多く,不眠で紹介されてきた患者さんにうつ病が合併していることがあり,そのため,最初のスクリーニングで見落とさないことが大事でした。各担当医は初診で来られた患者さんにいきなり研究についての話をすることに抵抗を示す者もいましたが,研究の背景について説明し,実際にやることは標準的な治療薬を使用すること,詳しいことはCRCが説明してくれることから医師の負担は少なく,何か問題があれば中央が対応してくれるため,医師はやりやすかったのではないかと思います。患者さんに対しても標準的な治療薬を使用することについて説明し,抵抗を感じる方は少なかったようです。また,身体合併症のある患者さんについても当初は組み入れに対する抵抗がありましたが,合併症が重症でない場合は問題なく行うことができました。各担当医もやっていく中で研究の流れに慣れてきて,比較的積極的に研究への組み入れに協力してくれるようになってきました。
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