書評
—V. C. Vaughan, III, R. J. McKay 編 中山健太郎(東邦大学教授) 奥田 六郎(京都大学教授) 監訳—ネルソン小児科学—原書第10版
藪内 百治
1
1大阪大学
pp.936
発行日 1979年9月1日
Published Date 1979/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204471
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ネルソンのTextBook of Pediatricsの日本語訳がはじめて出版されることになつたが,このことの小児科領域における意義は極めて大きいと思われる。小児科学を志す人はいうまでもなく医学生に至るまで,ネルソンの小児科学の名前を知らない人はないであろう。それほどまで古い歴史をもつて磨きぬかれた名著であり,日本の数多くの小児科学教科書がネルソンの小児科学を範として書かれている。したがつて今さらネルソンの小児科学の内容について云々することはないし,また監訳者の中山教授がネルソンの教科書が如何に変遷し,すぐれた形にととのえられたかを序文に書いておられ,それがそのまま本書の書評にもなつている。
私が小児科医を志すようになつて初めて自分で買つた小児科学書が,Mitchel1—Nelsonの第5版(1950)であつた。当時cecilの内科学書とMitchell-Nelsonの小児科学書はアメリカの教科書の双壁をなすものであつた。私の学生時代はドイッ医学の教育をうけた先生方に教えられ,使用した参考書もドイツ語の本が多く,英語の病名やその他もろもろのmedical termにはとつつきにくく,Mitchell-Nelsonは辞書を片手に読んだことを憶えている。したがつてその当時,読みながら常にまどろつこしさを感じており,これが日本語であればとよく思つたものである。
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