Japanese
English
総説
睡眠の機能
Function of Sleep
鳥居 鎮夫
1
Shizuo Torii
1
1東邦大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, School of Medicine, Tōhō University
pp.955-963
発行日 1978年9月1日
Published Date 1978/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204299
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I.はじめに
臨床医学では睡眠は単なる休息ではなくて,積極的な建設の面があることに昔から注目されていた。たとえば,肺炎の患者が夜中に殆ど眠れないような場合には,たとえその病変の範囲が狭くても予後が悪いとされた。つまり,病気に対する免疫とか,治癒力が睡眠のときにつくられると考えられていたわけである。このように唾眠は休息であるとともに建設であるという考えは,現在睡眠のときに生体の同化過程が促進されているという実験事実によつて支持されている(Oswald,1976;AdamとOswald,1977),そして睡眠中に生長ホルモンが分泌されることが,日本の睡眠研究者によつて発見されて以来,睡眠の建設の面が再び強調されるようになつた(Takahashiら,1968;Hondaら,1969)。
睡眠が同化過程と結びついているという間接的な証拠も多い。子供でよく眠つた期間と眠れなかつた期間とを比較して,生長の速度が3倍もちがうという報告もある(WolfとMoney,1973)。
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