Japanese
English
特集 意識と脳
夢見と意識
REM sleep and dreaming
鳥居 鎮夫
1
Shizuo Torii
1
1東邦大学医学部生理学教室
pp.37-40
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900313
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夢を見ている人にとって,夢での体験は本当に現実に存在すると思われる。実際には,それは本当でなくて,夢を構成しているイメージと感覚は,その夢を見るずっと前に体験したことが記銘されたものなのだが。このような「幻覚」が起こるのは,夢見睡眠中に,感覚性皮質の興奮によって心像ができるためである。眠っている人は,その興奮を起こす刺激が脳のなかから来ていることを理解できないので,そのイメージが本当であると,すなわち,覚醒時のように,その刺激が外から来ていると解釈するしかない。この「幻覚」は,正常な夢見睡眠の一部分として毎晩規則正しく起こっている。もしこれが覚醒中に起こるならば,精神障害と見なされるだろう。
こんな不思議なことが眠っている脳で起こっているのだが,最近の脳研究の進歩によって,そのメカニズムが少しずつ解きあかされつつある。ここでは,眠っている脳はどのようにして夢イメージを作りだすのかについての最近の知見を紹介しよう。
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