ご存知でしょうが
薬物依存とアルコール依存
加藤 正明
1
1国立精神衛生研究所
pp.1156
発行日 1977年11月1日
Published Date 1977/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204152
- 有料閲覧
- 文献概要
1965年にWHOが策8回国際疾病分類で薬物依存drug dependenceという術語を用い,1975年の第9回ICDではアルコール依存というコトバによつて,かつての慢性薬物およびアルコール中毒,嗜癖というコトバに置きかえることになつた。薬物依存のほうは大分一般化してきたが,アルコール依存のほうはまだ余り使われていない。また,第8回ICDでアルコーリズム(筆者はアルコール症と訳した)が残つていたが,第9回ICDではこれも姿を消し,「依存のない乱用(薬物・アルコール)」となつた。
精神医学教科書のほうは,まだこれに追いついていないが,要するに,治療に当つて重要なことは,中毒だけではなく,根底にある反復使用の「強迫傾向」を治すことだということである。また,とくに麻薬型依存やバルビタール酸型依存では,精神依存のみならず身体依存があり,離脱(禁断)症状として,前者の「自律神経嵐」,後者のけいれん,譫妄があることである。アルコールはこの点,バルビタール酸型依存を示す。依存発生薬物としては,いわゆる向精神薬が多いが,強力精神安定剤には一般に依存がない。第9回ICDは次の7型を挙げている。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.