- 有料閲覧
- 文献概要
上村,鈴木,朴沢およびHighsteinの4氏の共著によつて,英文版Neuro-otological Examinationが,医学書院から出版された。内容は,同書店から1968年に出版された「神経耳科学的検査法」を全面的に改訂し,かつ,新たにHighstein氏の神経学的検査法が書き加えられ,面目を一新したものになつている。
本書の構成は,序文として,検査法の選択,適応,最近における前庭機能に関する研究の進歩,ついで,II.現病歴,既往歴,家族歴のとり方,III.神経耳科学的検査法(神経学的検査,聴力検査,平衡機能テスト,自律神経機能検査,X線検査),IV.検査成績の解釈およびV.症例検討から成り立つている。ここにその詳細を紹介する紙数の余裕はないが,二,三目についたことを述べたい。まず,神経耳科学的検査を必要とするものは,めまい,平衡障害,耳鳴,難聴に関連するすべての疾患である。病歴のとり方については,患者自身の言葉によって語らせよと説く。神経学的検査法では,ルチンのものが手際よくまとめられていで。視力検査法としての赤マッチテストなどは有用な方法である。当然のことながら,andiometry,平衡機能テストに多くの頁がさかれている。具体的な図と説明が入つているのでわかりやすい。検査成績の解釈については,箇条書きになつていて,判断に便利である。巻末に,症例検討が載つている。メニエール病,Cholesteatoma otitisによる迷路炎,vesti—bular neuronitis,突発性難聴,cervicovestibular syn—drome,聴神経腫瘍,椎骨,脳底動脈不全による脳幹障害,Wallenberg症候群,脳幹小脳障害例,小脳性失調,発作性頭位眼振などについて,症候の記載とともに,nystagmogram,andiogram,eye-tracking,caiorictest,血管写,OKP testなどの結果が示されている。文献は約400で,1974年までの主なものは網羅されている。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.