Japanese
English
総説
夢の生理学
Physiology of Dreaming
大熊 輝雄
1
Teruo Okuma
1
1東北大学医学部精神医学教室
1Psychiatry, Tohoku University School of Medicine
pp.13-25
発行日 1977年1月1日
Published Date 1977/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203999
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I.はじめに
夢は万人が体験するごくありふれた現象であり,洋の東西を問わず神話の時代以来歴史や文芸の素材として欠くことができないものであつた。しかし夢がどのような機序で現われるのかはごく最近までまつたくわかつていなかつた。Freud(1900)は夢は幼児期に満たされなかつた願望を充足するために出現するものであり,また夢は睡眠を守護する役割を果すものであるというふうに,夢の意義を目的論的な見地から説明し,このような考えかたが精神分析学者を中心に一般の人々にもある程度みとめられてきた。
ところが,最近睡眠の生理学的研究がいちじるしく進展し,とくに夢に関係が深いREM睡眠が発見されて以来,夢が睡眠のどの時期にどのような機序で出現するかがしだいに明らかになつてきた。ここでは夢についての最近の研究のうち,夢の生理学的機序,およびそれと心理学的特性との関連,薬物の影響などに関する問題を概観することにする。
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