連載 ニューヨーク人間模様・11
夢のありよう
大竹 秀子
pp.936-937
発行日 2000年11月10日
Published Date 2000/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902293
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はるか彼方で,何かがキラキラ輝いている。ダイヤモンドの固まりである。
私はその時,ファッションショー会場の観客席に座っていた。ということは,ダイヤモンドがあっても,ちっとも不思議ではない場所にいたわけだけれども,事態が少々並み外れていたのは,その数十ものダイヤモンドを身につけていたのが,舞台の上のファッションモデルではなくて,客席に座る1人の男だということだった。そういえば,いつだったか新聞か雑誌で見たことがあった。その男がはめていた,ダイヤモンドを文字盤にびっしりと嵌め込んだ腕時計は,時価数千万円という値段まで明記して,スターの御大層なファッションとして記事の中で紹介されていたのだ。
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