症候群・徴候・32
Barré-Liéou (バレ・リェウ)症候群
平山 恵造
1
1順大脳神経内科
pp.281
発行日 1975年3月1日
Published Date 1975/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203675
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J.A.Barré(仏,1925,1926)はarthrite cervicale (頸椎症)の慢性期に,普通は頭蓋内疾患にみられる後頭部痛,眩暈,耳鳴,眼障害,発作性無声または要声などの自覚症状を主体とした神経症状がみられることに注目し,この原因が椎骨動脈周囲の交感神経の刺激によるものと考えsyndrome sympathique cervicalpostérieur (後頸部交感神経症候群)と命名した。これをその門下生Y.C.Liéouが1928年に博士論文として詳述し,これが後年Barré-Liéou症候群と呼ばれるようになつた。
椎骨動脈周囲の交感神経,すなわち椎骨神経,椎骨神経叢と副神経節,椎骨神経節などを一括して深頸部交感神経と称するが,Barré et Liéouは,この症候群に「深頸部」交感神経症候群の名をつけず,あえて「後頸部」を冠した。これはいわゆるホルネル症候群が前頸部交感神経症候群(syndrome de Claude Bernard-Horner ou Syndrome sympathiquecervical antérieur)と呼ばれるのに対峙させて用いたもので,フランス神経学の「実用性」の一端がうかがわれる。
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