症候群・徴候・20
Parsonage-Turner (パーソネイジ・ターナー)症候群
平山 恵造
1
1順大脳神経内科
pp.895
発行日 1974年9月1日
Published Date 1974/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203594
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本症候群は肩甲帯部の神経痛様癒痛とそれにひきつづき生ずる筋萎縮・麻痺を特徴とし,その性質からParsonage and Turner (英,1948)はneuralgic amyotrophyと呼んだが,後の人によりParsonage-Turner症候群といわれている。しかし,実際には彼らより早くSpillane (英,1943)により本症は報告されている。本症候群は戦時中(1941-1945)に軍隊で多発したが,その後も散発例がみられる。
疼痛は強く,肩にはじまるのを特徴とし,僧帽筋上縁,肩甲棘部,三角筋腹などに比較的限局すると共に,腕に放散する場合がある。激しい痛みで,灼熱感を伴ない,睡眠をさまたげる程で,数時間,数日ないしは2週間程持続した後消失する。いたみの出現におくれて肩甲帯部の一部に限局性の筋萎縮が起こる。筋萎縮・麻痺の好発筋は上・下後鋸筋,棘上・下筋,三角筋,僧帽筋などがあげられ,1末梢神経支配領域の筋にとどまることが稀でない。これらに比べ他覚的知覚障害は軽微であまり問題にならない。おかされるのは多くは一側性であるが,両側性の場合でも左右不対称である。発病に先だつて発熱をみず,また,脳脊髄液も原則として異常を認めない。原因は現在なお不明であるが,SpillaneおよびParsonage-Turnerの両報告とも,軍隊におけるもので半数は陣中で半数は他の諸疾患で入院中に発病している。
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