今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
思春期
8.ターナー症候群
菅沼 信彦
1
,
亀田 知美
1
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
pp.345-349
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102614
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1 概 念
ターナー症候群(Turner's syndrome : TS)は,1938年,Henry Turnerが性腺発育不全を伴う低身長,翼状頸,外反肘などの特徴を持つ女性7例を新たな症候群として報告したことに始まる1).その後,染色体の解析が可能になり,1959年にこの疾患が性染色体の欠損(45,X)であることが判明した2).性染色体分析の研究が進み,後述するようにTSには多くの性染色体構造異常やモザイク例などのバリエーションが存在することが明らかとなった3).さらにTS症状の責任遺伝子として,成長障害およびTS骨格徴候のSHOX 4)などが同定され,短椀が完全欠失すればpairing failureのため性腺異形成,SHOX欠失のため低身長,骨格徴候を示すことが理解できるようになった.しかしながらいまだTSの定義にはあいまいさが残り,現時点では「X染色体欠損症が存在しTS徴候を認めるもの,あるいは徴候がなくても明らかな短椀欠失を認めるもの」とされるが,今後は,TSの臨床的特徴があり,核型レベルで欠失がなくても遺伝子レベルで欠失が証明されればTSの範疇に入れられるものと思われる.
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