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Spine & Spinal Cord Volume 28, Issue 4 （April 2015）

脊椎脊髄ジャーナル 28巻4号（2015年4月発行）

Japanese English

特集脊椎脊髄の冠名徴候・症候群

Ⅱ．冠名症候群

Parsonage-Turner症候群 Parsonage-Turner Syndrome 福島和広 ¹ , 池田修一 ² Kazuhiro FUKUSHIMA ¹ , Shu-ichi IKEDA ² ¹信州大学医学部附属病院難病診療センター ²信州大学医学部脳神経内科，リウマチ・膠原病内科 ¹Intractable Disease Care Center, Shinshu University Hospital, Shinshu University School of Medicine キーワード：パーソネージ・ターナー症候群（Parsonage-Turner syndrome） , 神経痛性筋萎縮症（neuralgic amyotrophy） , 特発性腕神経叢炎（idiopathic brachial plexus neuritis） Keyword: パーソネージ・ターナー症候群（Parsonage-Turner syndrome） , 神経痛性筋萎縮症（neuralgic amyotrophy） , 特発性腕神経叢炎（idiopathic brachial plexus neuritis） pp.422-424

発行日 2015年4月25日 Published Date 2015/4/25

DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200124

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はじめに

　小児科医を志していたMaurice John Parsonage（1915-2008）は，第2次大戦の勃発により英国陸軍中佐として頭部外傷専門の陸軍病院での勤務やインド駐留を余儀なくされた^12）．その経験を通じ，片側上肢の神経痛発作に続き同側の肩甲上腕部の筋萎縮をきたす特徴的な症例に数多く遭遇した．大戦中の英国では同様の症例に関する複数の報告があり，John William Aldren Turner（1911-1980）は，36例を“Acute brachial radiculitis”としてBritish Medical Journalに発表した（1944年）^14）．戦後，Parsonageは神経科医としてのトレーニングをGuy病院（King's College London）で開始し^12），同じく軍歴を経てSt Bartholomew病院の顧問神経科医に就任したTurnerとともに，戦時下に経験した136例の臨床像をLancetに発表した（1948年）^9,11,12）．彼らはNeuralgic amyotrophy（神経痛性筋萎縮症）の名称を提唱し，病因は不明ながら長胸神経，腋窩神経，肩甲上神経などの（多発）単神経障害やC5，C6の神経根障害が推定される症例が多いことを記載した^11）．この症候群は，2人の名を冠したParsonage-Turner syndromeの名称でも知られ，現在に至るまで多数の報告がある．