Japanese
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短報
エポン包埋切片でのヘマトキシリン・エオジン染色法について
Introduction of a Method of H・E Staining on Epon-ernbedded Tissue Sections
江川 重公
1
,
生田 房弘
1
Juko Egawa
1
,
Fusahiro Ikuta
1
1新潟大学脳研究所 神経病理学教室
1Department of Neuropathology, Brain Research Institute, Niigata University
pp.394-396
発行日 1974年3月1日
Published Date 1974/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203526
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病理組織学的所見の大部分がパラフィン包埋一ヘマトキシリン・エオジン(H・E)染色標本から得られているのに対し,電顕下の検索に先立つエポン包埋剤での光顕用切片染色は,ルーチンには,トルイヂンブルーが使われている。これらの両者間の所見の読みに時折戸惑を感ずる標本を誰しも経験されていると思う。特にパラフィン包埋H・E染標本で認められたエオジン好性物質,就中ウィルスや代謝産物にもとつく細胞核内封入体などをもつ部を選択的に電顕用超薄切片に出現させて検索したい場合など,"オスミウム固定され,エポン等の合成樹脂に包埋された切片にH・E染が施行できたら"という願いは切実な夢でもあつた。もちろん,トルイヂンブルー,サフラニン染色でも時に核内および胞体中のウィルス粒子群が明瞭に認められる時もある(第1図)。また,こうした目的で試みられた中で,H・E染色法にある程度代りうると思われたものの一つは合成樹脂切片に加えられたBodianおよびBielchowski染色であった2)(第2図)。しかしここにも限界がある。
ところが,1972年Changがオスミウム固定切片に過沃素酸を作用させることで,合成樹脂切片でのH・E染色が可能になる方法を報告1)した。そこでこの原法を紹介し,われわれがそれを再試したのち,現在実施している手技をここに述べ検討の資としたい。
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