増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
第II章 組織学的検査
2.検体
2)検体の受付と処理
f)染色法[1]ヘマトキシリン・エオジン染色
安藤 千秋
1
,
奥田 清司
1
1大垣市民病院病理細胞診室
pp.107-110
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903466
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1.染色目的
ヘマトキシリン・エオジン(hematoxylin-eosin;以下HEと略)染色は免疫組織化学,分子病理学の進歩にもかかわらず,組織学的検査において,まず基本的に行うべき大切な染色であって,この染色で細胞像や組織構造を観察し,確定もしくは補助診断を行うことになる.その標本の利点は,簡便性,安定性,保存性に優れていることである.それゆえ,HE染色を普通染色または一般染色と呼び,特殊染色と区別している.
HE染色はヘマトキシリンで細胞核を青紫色に,エオジンで細胞質・線維組織・赤血球などを淡紅色から紅色に染める.例えば,染め上がった組織標本を肉眼的に見ると,リンパ節のような細胞核優位の標本は青く,脳や線維成分の多い標本は紅色として見ることができる.この2種類の色素でさまざまな組織成分が判別でき,コントラストのきれいな標本であることが特徴である.
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