検査じょうほう室 病理:病理標本に見られる不思議な現象
ヘマトキシリン-エオジン染色の不思議
広井 禎之
1
,
渡辺 明朗
2
1防衛医科大学校病理学第一講座
2メルク(株)
pp.734-737
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100705
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はじめに
日常の病理組織診断にはヘマトキシリン-エオジン染色(hematoxylin and eosin stains,以下HE染色)標本が基本的に用いられている.毎日のように染色し,いちばん身近な本染色,簡単なようで実は難しい染色法であると感じている方も少なくないのではないだろうか.
ヘマトキシリンは間接色素で,媒染剤と結合しレーキを形成しないと染色性を持つことができない.またヘマトキシリンの粉は淡黄色であるが染色液は紫色である.さらに共染,色出し,分別とヘマトキシリンには各工程に不思議がいくつもある.
一方,エオジンは酸を加えないと染色性が強くならないが,酸を加えすぎるとかえって染まらなくなる.エオジンにもまた不思議がある.
本稿ではこんなHE染色の不思議について解説する.
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