Japanese
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神経疾患アトラス6
Krabbe病(Globoid Cell Leukodystrophy)
Krabbe's Disease (Globoid Cell Leukodystrophy)
鈴木 義之
1
Yoshiyuki Suzuki
1
1東京大学医学部小児科
1Department of Pediatrics, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.1259-1262
発行日 1973年10月1日
Published Date 1973/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203386
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Krabbe病は,1916年Knud Krabbe (Copenhagen)が汎発性硬化症の乳児型として,5症例をまとめたのが最初で,これまでに100例ほどの報告が世界各地からなされている。常染色体性劣性遺伝により,家族内発生がみられる。人種差ははつきりしない。その頻度をHa—gberg et al (1969)は出生あたり1.9×10−5と計算している。乳児早期より発症し,易刺戟性,興奮性亢進,精神運動発達停止,四肢筋緊張亢進等が初期から出現する。数カ月以上経過すると末梢神経障害の所見がみられるようになる。腱反射は減弱,消失し,末梢神経伝導速度は低下し,髄液蛋白は上昇する。症状の進行は早く,半年から2年位の間に死亡する。
病理学的には高度の脱髄,脳萎縮があり(第1図)オリゴグリアは殆ど消失する。多数のgloboid cellが主に血管周囲にみられる(第2図)ラット脳にgalactocere—brosideを注入すると,特異的にgloboid cell reactionをおこす(第3図)。他の糖脂質その他類似化合物ではこの反応はおこらない。犬にも類似の臨床症状,病理変化をもつ変異種が知られている。電顕上,globoid cell中に小管状の物質の蓄積がみられる。直線状のものと,螺旋状のものとがある(第4,5図)。これらはgalacto—cerebroside自体と考えられている。
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