書評
—鈴木 宗治 著—頭部X線診断の実際
牧 豊
1
1千葉大学脳神経外科
pp.1604
発行日 1972年12月1日
Published Date 1972/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203237
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臨床神経学に関連した臨床医にとっては誰れしも頭部X線検査を無視することはできない。頭蓋X線撮影や気脳撮影,さらに脳血管撮影などの各専門書にはそれぞれの名著がある。しかし,神経放射線の全領域にわたる成書となるとかなり限定されて来る。従来,もつとも広く読まれているのはTaveras & WoodらのDiagnostic Neuroradiologyであろう。米国で神経放射線のバイブルといわれた本書も現在大幅に改訂中と聞く。古くはDecker編のClinicalNeuroradiologyがあるがすでに絶版である。最近Newton & Potts編の大きなHand bookが出版されつつあるが余りにも高価で一般的ではないであろう。本邦においては原一夫編の「脳疾患のレ線診断」の名著もある。
かつて,Columbia大学Neuro—Iogical Instituteの合同コンファレンスで神経放射線医PottsのSar—coidosisの話を聞いたとき,その臨床神経学の深さに,米国の神経放射線医の素晴しさに驚ろいた経験がある。鈴木宗治著「頭部X線診断の実際」は一口に言つて,如何にも米国で訓練を受けたはえぬきの神経放射線医が書かれたといった感じの,総合された知識と経験から書かれた教科書である。本書は神経放射線領域の中,頭部X線診断に限つてあるが,頭部顔面,頸部の全領域にわたり,眼科および耳鼻科領域はもちろん,歯科領域まで含まれている。また全体として神経小児科領域の症例も豊富である。
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