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はじめに
気体による脊髄腔造影法はかなり古くから行なわれ,1918年Dandy1)が脳室造影法の後で空気が脊髄腔に流入するのに注目したことに始まる。1938年にはYoung及びScott13)が腰椎及び後頭下穿刺により気体による脊髄腔造影法を報告している。Lindgren7)は1939年までに,後頭下穿刺法により多数例の気体脊髄腔造影法を行なつている。この間にLipiodol, Myosilの油性造影剤が開発されたこと,又,気体による脊髄腔造影法の手技が困難であること,患者の苦痛が大きいことなどのためにアメリカ,日本では,専ら油性造影剤が使用されるようになつた。しかし,油性造影剤は髄膜の異物反応を惹起する危険があり,造影剤が長年にわたり吸収されずに脊髄腔に止まるという欠点があるために,気体による脊髄腔造影の手技の改良が主としてヨーロッパの諸国において試みられてきた2)3)6)8)10)11)。1967年に,Feria及びRadberg2)は,腰椎穿刺針で陽圧を加える方法により,全脊髄腔を造影することを試みている。又,Westberg11)は1966年に腰椎穿刺による方法で,体位,頭位を種々に変換して実施し,すべての脊髄腔を造影する方法を報告している。吾々も,油性造影剤の不利を避けるために種々の手技による気体脊髄腔造影法を試みてきたが,Westbergの変法によつて,常時,診断能の高い造影を実施できるようになつたので,現在までの33例をもとに吾々の方法を概説するとともに,気体脊髄腔造法影の得失を検討する。
Gas myelography has been performed on 33 pati-ents with various spinal abnormalities. We have modified the technique originally described by West-berg for more common use in the daily neuroradi-ologic practice in this country. Advantages and disadvantages of this technique were discussed in comparison with conventional oil myelography. This technique is associated with no arachnoiditis such as seen in oil myelography and especially use-ful in demonstrating the spinal cord diameter. It has been concluded that this technique should be used more widely in selected cases of spinal diseases.
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