連載 脳の病理組織学の手引き・10—HISTOPATHOLOGY OF THE BRAIN
V.間葉性(中胚葉性)組織の病変 その1
武谷 止孝
1
1九州大学医学部神経精神医学教室,脳病理研究室
pp.1271-1282
発行日 1967年12月1日
Published Date 1967/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202324
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中枢神経は外胚葉性組織と間葉性(中胚葉性)組織とから成る,ことは,初めに記した(脳の病理組織学の手引きI,脳と神経,4巻2号112頁,1952年—昭和27—3月,参照)。いままで述べた神経細胞・神経線維・グリアは外胚葉性の組織であり,これから述べる脳膜およびその変形物である脈絡叢・血管は間葉性組織である。
間葉性組織の検索には,ヘマトクシリン・エオジン標本が主役をなし,van Gieson染色・アザン染色・弾性線維染色・van Gieson—弾性線維併用法・細網線維鍍銀法などによる所見が参照される。PAS染色1は血管,ことに毛細血管壁を明らかに染め出すので,ときによつては便利なことがある。Nissl染色では,間葉性組織の核だけが染まつて,線維成分や細胞間物質が染まらないから,普通の場合は不便だが,細胞浸潤や毛細血管壁細胞の肥大・増殖など,病的所見をつかむには,H-E標本よりもかえつてつごうがよい,ことがある。
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