目でみる耳鼻咽喉科
無汗性外胚葉形成不全
西嶌 渡
1
,
竹生田 勝次
1
,
小林 憲明
2
,
大柿 徹
2
,
長谷川 誠
2
,
斎藤 洋三
2
,
渡辺 勈
2
1埼王県立がんセンター耳鼻咽喉科
2東京医科歯科大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.700-701
発行日 1988年9月20日
Published Date 1988/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200210
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無汗性外胚葉形成不全(anhidrotic ectodermal dys—plasia)は,無汗症,乏毛症,乏歯症を三主徴とする先天異常と考えられる疾患である。この三主徴以外に鞍鼻,萎縮性鼻炎,前額部突出,口唇突出,歯牙発育異常,耳介変形など,さまざまな特微的所見を示す。本症は生下時より無汗,発汗低下を認め,そのため体温調節が困難となり,小児科や皮膚科を受診する場合が多いといわれている。少し長じて乳幼児期には歯牙の発育不全のため歯科を受診する場合も多く認められる。耳鼻咽喉科への受診は少なく,受診年齢も学童期以降がほとんどで,受診理由は萎縮性鼻炎や鞍鼻などを主訴とする場合が多い。この無汗性外胚葉形成不全症は,多彩な臨床的特徴を示す典型例から,注意しないとその臨床的特徴を見出せないものまで,発現形態はさまざまのようである。供覧する症例は14歳の少年に認められた典型例と考えられる1症例である。
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