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Wimbledon地区18年間112例の展望。4〜70歳にわたるが,2/3は31〜60歳。症状は頭痛(101例),嘔吐(70),運動失調(54),項痛(29),めまい(32),眼痛(5),括約筋障害(6)など。頭痛は前頭,後頭などにあつて非限局性,その程度,持続はさまざまである。所見は欝血乳頭(83例),小脳症状(75例),眼球麻痺(20例),顔面麻痺(20例),難聴(3例),下部の脳神経症状(4例),皮質脊髄路障害(25例)および精神症状として,圧亢進に伴う症状(14例),圧亢進に関係ない症状(3例),偶発の分裂病(1例)など。網膜血管腫合併2例。さて112例のうち,3例(術前死亡)を除きすべて手術。術後2週以内死亡12例,3ヵ月内死4例,全死亡率15%。早期死は創付近の脳浮腫,脳幹圧迫,髄膜炎。術後3ヵ月以上生存し,follow-up (平均7.9年)しえた92例では,5年生存90%,10年生存80%,20年生存40%。このうち生活能力でみると,5年生存の76%はまったく異常なく健存,6%は頭痛・めまいを軽度に訴え,13%は中等度の不具状態,5%は失明である。同側ないし反対側の再発13例。そのうち6個は切除不十分にもとづき,10個はまつたく違つた部に第2の血管腫として発生。再発者のうち3例は本症の家族歴あり。第1腫瘤より第2腫瘤までのインターバル1〜24年(平均5.3年)。1回以上の再発4例。腫瘤はcystic76例,solid36例で,再発はsolid6例,cystic7例。再発は必ずしも第1腫瘤と同種でない。手術死は1947〜1957年間64例で20%,1958〜1965年間45例で6%という具合に近年著しく低下した。診断は脳室造影が大部分である。椎骨動脈造影はとくに多数個あるときに有用,従つて家族歴あるものにはすすめられる。手術成績の向上は部位の確実な診断が可能になつたこと,止血,感染阻止が巧みになされるようになつたことに負う。また脳浮腫抑制に成功してきたことも見のがせないであろう。
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