文献紹介
栓球減少性血管腫,他
pp.967,998
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203385
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栓球減少を伴つた血管腫は最近欧米はもとより本邦に於ても注目されてきているが,本症は最初の報告者(1940)の名前を用いて,Kasabachand Merritt病ともいう。従来本症の患者は特発性栓球減少性紫斑として屡々誤診されたり治療されていた。治療としては血管腫のレ線照射外科的切除等が一般に行われている。
著者は白験例の他文献例29例を綜括して次の如くのべている。栓球減少症はこの患者に於て血管腫が不変若しくは増大しつつあるときは頑固につづくが,血管腫がレ線照射,外科的切除又は自然緩解により縮小したときは殆ど全例に於て栓球数が増加した。一般に最良の治療はレ線照射で,外科的切除は大出血を恐れて危険。脾剔は一般に無効である。特発性栓球減少症との類似性が骨髄のMegakaryocyteの出現で注目されたことと栓球凝葉素が1例の本症患者で見出されて以来,本症の発生機序に対する研究に興味がひかれ,血管腫内被細胞に於ける或種の反応が栓球を破壊し又骨髄内のMegaka—ryocyteに有効に作用する抗栓球抗体の産生を促進し,又未知の因子が促進されて,この因子が所謂特発性栓球減少性紫斑の際に現われるものと同じものではなかろうかなどが考えられている。(D.A.Suther landand H.Clark American J.of Medicine,33 : 1,July,150,1962)
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