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熱傷者ではtoxic degenerative en—cepnnalopatlnyはときどき見るが,頭蓋内出血というのは稀である。多くの文献でも然りだが,Madow (Arch.Neurol.Psych.72:440,1944)は2例の重傷熱傷で肉眼的出血(−)で顕微鏡的に出血(+)というのを報じ,Hajek (Acta. Chir. Plast.,5:193,1963)は熱傷死147例のうち1例のみ肉眼的な頭蓋内出血を見ているにすぎない。本報はIndiana大学外科で,重傷熱傷の4例に頭蓋内出血があつたというので,注目さるべきものである。52歳男,55%(大部分III度)熱傷,意識あり,体液補給,投与,6時間後Cheyne-Stokes呼吸生ず。頭蓋内損傷を疑う。しかし神経学的症状なし。高熱。無尿。17時間後死亡。剖検,陳旧心筋梗塞あり,脳1350g,左前頭,右側頭にlace—ration, contusionと共に,脳内出血あり。3歳少女40%II・III度熱傷,家庭医の治療を受け17日後来院。母によると椅子から落ち頭を打つた由。入院2日後lethargicで死亡。剖検。急性pyenonephritis, 前頭葉に0.5×1.0cm大の血腫,内嚢に多数の小出血巣,後頭葉に大出血あり。20歳娘,95%II度熱傷,2時間後lethargicで入院。4日目死亡。脳1450g,左側頭皮質に限局性血腫,脳軟化あり。頭頂部の白質灰白質に小出血あり。51歳男上半身全体のIII度熱傷,48時間後来院,神経症状ほとんどなし。翌日死亡。脳1320g,皮質および歯状核部に限局性出血。以上のように熱傷と同時に頭部に損傷を受けることがあり,それが出血の原因をなすから,熱傷でも,頭蓋内出血を注意したい。
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