特集 妊産婦死亡の現状と削減に向けた対策
各論
頭蓋内出血
髙橋 淳
1
TAKAHASHI Jun
1
1近畿大学医学部脳神経外科
pp.386-390
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000822
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はじめに
国内における妊娠関連脳卒中の頻度は10.2/10万出産とされる1)。脳卒中は頭蓋内出血(脳出血,くも膜下出血)と脳梗塞に大別できるが,欧米の妊産婦脳卒中が脳梗塞主体であるのに対し,わが国では明らかに頭蓋内出血の頻度が高い(66~73%)1,2)。これは台湾での調査でも同様であり,東アジア人の特徴と推定されている。わが国の妊産婦死亡の15%は脳卒中によるもので,産科危機的出血(18%)につぐ第2位を占める。脳梗塞による妊産婦死亡例はまれであり,脳卒中死のほとんどは頭蓋内出血によるものである。
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