今月の臨床 妊娠高血圧症候群と関連疾患
【関連疾患の病態と管理】
6.頭蓋内出血
大野 泰正
1,2
1大野レディスクリニック
2名古屋大学大学院
pp.1302-1307
発行日 2009年10月10日
Published Date 2009/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102198
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はじめに
日本の妊産婦死亡率は減少し世界最高水準にあるが,この10年間はほとんど変化していない.また妊産婦死亡の25%を脳血管障害が占めるとの報告もあり(日産婦統計2001~2004),妊産婦死亡における脳血管障害合併妊産婦の管理が重要であることはいうまでもない.妊娠高血圧症候群に合併する脳血管障害として,現在「子癇」と表現されている一過性血管原性脳浮腫,高血圧性脳出血,出血性梗塞を含めた脳虚血などがある.一過性血管原性脳浮腫が可逆性良好な経過をとる症例がほとんどであるのに比べ,高血圧性脳出血では致死的転帰をとる症例が多い.しかしながら,痙攣という共通臨床症状を呈することが多いため鑑別が困難な場合が多い.脳血管障害妊産婦の診断管理法の確立は急務であるが,子癇と脳出血の脳内病態解明,両者の診断鑑別方法に関しては十分な検討がなされてこなかった.今回はそれらの問題点の克服に向けて得られたデータを基に検討する.
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