Japanese
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連載 電顕による脳の形態学アトラス
I.神経線維
nerve fiber
本陣 良平
1
1金沢大学医学部解剖教室
pp.464-472
発行日 1966年5月1日
Published Date 1966/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202038
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現在市販されている電子顕微鏡の分解能は約4Åで,可視光顕微鏡が最も良い条件下で0.2μの分解能を示すことを考えると(1μ=10,000 Å),電顕は光顕の500倍の解像力を有することになる。生体材料の検索には,蛋白とリポイドをよく保持する中性4酸化オスミウムが固定剤として賞用され,生体膜系の検索には過マンガン酸カリが固定に使用されている。固定後試料は合成樹脂に包埋され,200〜300Å超薄切片とし,写真のコントラストをよくするために,鉛やウラニウムによる電子染色が施され,鏡検される。
有髄神経線維の軸索内には,縦走する神経綿線維neurofilament (径90〜120Å)・細長い小管状のエンドプラスミックレテクルムneurotubules (〜250Å)・糸状のミトコンドリアが恒常に存する。軸索の末端すなわち神経終末に近づくと,小胞状のシナプス小胞が現われる。古典的神経組織学に記述されたいわゆる「神経原線維,Neurofibrillen,neurofibrils」に相当する太さの線維構造は存しない。神経原線維は粗雑な固定操作によつて生じた人工産物である。軸索の表面に厚さ約80Åの軸索膜があり,髄鞘層板の最内層につながる膜(Schwann膜)に面している。
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