Japanese
English
特集 第7回脳のシンポジウム
主題—グリア細胞
新鮮な神経線維髄鞘板層膜内の電子密度勾配のX線回折による解析
X-ray diffraction analysis of electron density distribution in myelin lamellar membranes of fresh nerve fibers
本陣 良平
1
Ryohei HONJIN
1
1金沢大学医学部解剖学教室・神経情報研究施設
1Department of Anatomy & Neuro-Information Research Institute, Kanazawa University
pp.29-33
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903341
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.いとぐち
細胞の表面に存する形質膜(細胞膜)は,代表的な生体膜であり,その分子構成の解明は,細胞の示す生活現象の解析に当つて,最も重要な課題の一つといえよう。しかし細胞膜の分子構成は,細胞の種によつて,またその部位に応じて,当然差異のあることが予測され,しかも細胞膜はきわめて薄い膜であるので,生きた新鮮な状態におけるこれの解析はきわめて困難である。従来は主として電子顕微鏡によつてその解析がなされ,薄膜の集積としての髄鞘の薄切片の電顕所見は,Robertsonら1)の細胞膜に関する単位膜(unit membrane)概念の基礎をなした。しかし電顕による生活物質の観察には,後に触れるように,現段階では種々の人工的変化が避けえないので,新鮮な細胞膜の分子構築の解明を意図するわれわれにとつて,大きな不満がある。この研究は,新鮮な生体膜としてのグリア細胞の細胞膜の分子構築解明へのアプローチを,神経線維髄鞘についてのX線回折像の解析によつて果たさんとしたものである。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.