Japanese
English
電子顕微鏡による脳の形態学アトラス4
神経線維
Nerve Fibers
佐野 豊
1
,
河田 光博
1
Yutaka Sano
1
,
Mitsuhiro Kawata
1
1京都府立医科大学第1解剖学教室
1Department of Anatomy I, Kyoto Prefectural University of Medicine.
pp.354-359
発行日 1978年4月1日
Published Date 1978/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204224
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Felix Fontana (1781)は,末梢神経がそれぞれ類似の構造を示す細い線維の集合によつて構成されていることを認めた。一般にこの記載が神経線維に関する最初の発見とみなされている。その後Treviranus (1816)は,坐骨神経を観察し,神経線維が被膜に包まれた管状構造をもつことを見い出している。ついでEhrenberg (1833)は神経節を形成している球状体(細胞体)が突起をもつていることを報告し,Remak (1837)は神経線維が細胞の突起と連続するものであることを発表するとともに,無髄線維の存在を確認している。Schwann (1839)による,いわゆるPlasmodiumtheorieの発表,Deiters (1865)による軸索突起(Achsenzylinderfortsatz,神経突起Neu—rit)と形質突起(Cytoplasmafortsatz,樹状突起Dendrit)の分離,Ranvier (1871)による絞輪の発見,GolgiやCajalによる渡銀法とWeigertによる髄鞘染色法の確立など,19世紀後半へ向けて神経線維の形態についての業績は,みごとな開花を示した。しかし,シナプスに関して綱状説とノイロン説に分かれてたたかわされた論争が電子顕微鏡の出現によつて終止符を打たれたのと同様に,神経線維の構造解明についても,電顕レベルでの研究が行われてはじめて飛躍的な進展がもたらされたといえる。
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