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はじめに
神経線維は中枢神経および末梢神経中に広く分布し,その種類も多様であるが,その機能的役割として最も重要なものの一つは細胞から細胞への情報の伝播である。中枢から末梢への遠心性の運動司令,末梢から中枢への求心性の感覚情報の伝達,感覚入力と運動出力などからなる反射の形成などに神経線維の活動が不可欠である。運動司令や感覚情報は神経線維内を活動電位として伝播されるが,活動電位を伝える神経線維は有髄大径で伝導速度の高いものから,無髄小径で伝導速度の低いものまでさまざまである。単一神経線維の機能は主に実験動物を対象にして検索されてきたが,最近では金属微小電極を用いてヒトの末梢神経中の単一神経線維の活動電位を観察することも可能になっている。ヒトにおける単一感覚神経線維活動の観察は,動物実験では困難な自覚的な感覚と末梢の感覚単位(感覚受容器と求心線維)の活動性との対応関係の分析を容易にするため,感覚の機序を明らかにするうえできわめて有用と思われる。本稿ではまず動物実験での知見をもとに末梢神経線維の種類と機能について概説し,ついでヒトの末梢神経中の単一神経線維活動の観察に用いられる微小神経電図法(microneurography)の開発までの過程と,この新しい方法により解析したヒトの単一感覚神経線維の機能について述べる。
Functions of single afferent nerve fibers have thus far been analysed mainly in experimental animals. Meanwhile, the microneurographic tech-nique developped by Hagbarth and Vallbo has permitted detailed analyses of different types of single afferent nerve fibers in man. The purpose of the present paper was to analyse some func-tional features of single afferent nerve fibers in human peripheral nerves by means of micro-neurography.
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