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【I−1】除痛手術としての定位的視床破壊
(札幌医大脳神経外科)橋場 輝芳 宮崎 雄二平井 宏樹 末松 克美 中村 順一 蜂巣 裕高田 育郎
演者等は頑痛に対し各種の除痛手術を行なつてきているが,これらのうち大脳レベルにおける手術は41例(前頭葉内下部白質破壊術,帯状束破壊術および定位的視床核破壊術)であり,今回はこれらのうちから除痛を目的として視床に侵襲を加えた24例について報告した。
演者らのこれまで行なってきた除痛を目的とする定位的視床破壊術の経過は4段階に分けられる。すなわち最も初期の視床内特有知覚核であるNucleus Ventralis Posterolateralis et Posteromedialisの破壊を行なつた第1段階においては知覚脱失は招来するも頑痛の解除には何ら役だたないことを知つた。これらの経験から考えを転じて諸家ならびに演者等の疹痛伝導路の神経生理学的研究結果より,Nucleus Intralamellaris,NucleusParafascl-cularis,Nucleus Centrum Medianumの破壊に着目し,第2段階としてこれらの諸核を含む大きな破壊巣を視床後腹部内に作製することにより知覚脱失を伴いつつも除痛効果をようやく得ることができた。これより第3段階としてはNucleus Centrum MedianumとNucleus Para-fascicularisにのみ比較的限局した破壊巣の作製へと進み,これら両者特に後者の破壊が除痛法として有用なことを知り,現段階としては12例においてNucleus Para-fascicularisの定位的破壊を主目的としてきわめて小なる破壊巣の作製を行なつてきている。
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