連載 神経化学実験法・13
アセチルコリンおよび関連酵素の定量法(1)
高橋 良
1
,
黒川 正則
2
Ryo Takahashi
1
,
Masanori Kurokawa
2
1東京医歯大神経精神科
2東大脳研神経生化学
pp.162-168
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201783
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
アセチルコリン(ACh)は中枢神経組織に存在する生物学的活性物質のなかで生化学的,生理学的に最もよく研究されてきた物質で,今日中枢神経系におけるシナプス伝達物質のひとつとして最も確実視されているものである。しかし中枢神経組織内に存在する濃度は,わずか10〜20mμモル/gであり,今日まだ精度のよい化学的定量法が確立されていないため,定量実験はもつぱら生物学的検定法bioassayによらざるをえない。AChの役割についての実験は単一ニューロンのレベルにおけるInicrophysiologyから種々の機能状態に対応する脳内ACh量の測定というmacrophysiologyにいたる種々の形で行なわれてきているが,これは抽出法やbioassayの種類をえらぶことによつて極微量のAChを測定しうるからである。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.