Japanese
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特集 第4回神経化学懇話会
脳の特異物質
マウス脳の粒子性アセチルコリンについて
On the Particle-bound Acetylcholine in Mouse Brain
黒川 正則
1
,
町山 幸輝
2
,
加藤 誠
2
,
秋元 波留夫
2
Mlasanori Kurokawa
1
,
Yukiteru Machiyama
2
,
Makoto Kato
2
,
Haruo Akimoto
2
1東京大学医学部脳研究所
2東京大学医学部精神医学教室
1Institute of Brain Research, Faculty of Medicine, University of Tokyo
2Deparment of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.537-545
発行日 1962年9月25日
Published Date 1962/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903981
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1.マウス悩AChの細胞内分布を調べた。ep,gpc BL-57系各マウスとも,AChのほぼ60%が450,000g-min分画(ミトコンドリア粗分画)にふくまれる。文献的考察により分布に動物差のあることを述べた。
2.低張処理により粒子結合AChを不安定,安定の2型に分けた。先天的に痙攣素因を有するepマウス脳は,正常マウス脳にくらべて,約2倍の不安定AChをふくむ点で特徴的である。
3.epマウスの体位刺激痙攣に伴い,不安定AChの選択的低下と,安定AChの一時的増加が認められる。
4.液体窒素凍結脳につき定量されるep痙攣時のACh最大低下は,不安定AChの量にほぼ等しい。
5.麻酔下の正常マウスでは不安定AChの増加(+120%)が認められる。この状態のマウスに薬物痙攣を起させると,ep痙攣と同様に,不安定AChの選択的低下が起る。この際のAChの最大低下も,不安定AChの量とほぼ同等である。
6.以上の資料から,痙攣をひきおこすような過剰な神経過程において,不安定AChの選択的かつ全面的消費が起ることを推定した。安定AChは新たに合成されることによつて不安定AChの修復に用いられる可能性がある。
7.断頭脳,凍結悩について定量されるACh値について,若干の考察を加えた。
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