連載 神経病理アトラス・10
脳腫瘍の病理
小宅 洋
1
1新大脳研
pp.5-12
発行日 1965年1月1日
Published Date 1965/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201756
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
松果体腫瘍
松果体腫pinealomaの本態については種々の見解があり,本アトラス・シリーズでも膠腫の一腫として紹介された。著者はこれを一種の奇形腫とみなす意見に賛成しているので,本編の一貫性を害うことを恐れつつも,この見地からとりあげてみたい。
①(HE)は胎生6月の松果体であるが,リンパ球様細胞(中胚葉由来であろう)を除けば,構成細胞は一様で,胞体・核ともに暗い暗調細胞である。これが胎生7 1/2月になると,②(HE)のように胞体・核ともに明るい明調細胞が分化(変態metamorphosisとよばれる)してき,Bodian標本でみると③,明調細胞は好銀性のいわゆる松果体線維(Walterのプロタルゴール法,BielschowskyまたはCajalの神経線維染色およびHortegaの松果体細胞染色でも染めだされる。)をだし,そのあるものは終末桿end clubとなつて,血管周囲にわずかにある結合織の内部に終つている。成人では④(HE)のように,血管周囲の結合織が発達し,松果体は小葉に区画される。同時に松果体線維も発違し結合織と混交してRandschleierが構成される。⑤は④のBodian標本である。⑥はHortegaによる成人松果体の構造シェーマであるが,正常松果体細胞はすべて線維状突起をもつた細胞であることに注意されたい。この他実質にはマクログリアも少数存在している。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.