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特集 中枢神経系の悪性腫瘍
脳腫瘍の病理形態
Pathologic morphology of brain tumors
所 安夫
1
Yasuo TOKORO
1
1帝京大学医学部第一病理学教室
11st Department of Pathology, Teikyo University School of Medicine
pp.15-29
発行日 1978年2月10日
Published Date 1978/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904824
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I.初めのお詫び
脳腫瘍の病理形態学は,今を去る20有余年以前私が脳腫瘍一巻を世に問うた頃,ちょうど歴史の思春期を間もなく迎えようとする基礎工事の終りであり,ひもとけばまさに古典の一巻であった。それから今日まで,歴史は華やかに入り乱れ狂ほしい速度で思春期を経過し,病理形態学は超微構造・免疫・培養・動物モデル・生化学・治療・CT診断はては奇怪な現象態等にすさまじい樹枝状突起を出した。先駆者が外国人であろうとも,今や日本の学者の仕事は質量ともに讃うべくこれのみにて知識は十全を誇りうる。
当初本稿で指示された私の義務は,樹枝状突起の絵巻物のように壮麗な発展図を短く紹介することにある。眼前には厖大な文献がうず高く,俯瞰すらもむつかしい。どちらをみても見事,選び分けにくい。限られた空間と知りつつ無暴にも従って稚気あるいは顰蹙(ひんしゅく)物かもしれぬが,稿を始めるに当たって,洋の東西を問わず過去20年間の仕事を糧に私は順序不同,次のように課題を拾い集めた。
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