Japanese
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特集 知能とその障害
神経病理学の立場から
脳に著変を認めない精神薄弱の病理
Pathological Findings in Oligophrenia Vera
室伏 君士
1
Kunshi Murofushi
1
1順天堂大学医学部神経科
1Division of Neurology, Juntendo Univ. School of Medicine
pp.734-738
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201699
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室伏講師はまず,神経病理学の立場からの精神薄弱の分類,ついで主としていわゆるoligophrenia veraについてのべられた。これは知能の個人差と脳の形態学的所見との関連という問題にとつて重要なsampleであるにもかかわらず,今まで注目されることが少なかつたものである。これに属する8例を正常対照例と比較した結果,正常人脳にも少数ながらみとめられる種々の未分化性を示す所見がえられたが,これらの所見と正常変異との関係,あるいはひろく一般に知能発達障害と脳の形態との関連については,慎重な立場にたつて一義的な結論はさけられた。
精神薄弱の病理は,病因の種類,病理解剖像の特長や程度,さらには傷害される脳の条件,すなわち傷害時期などにより,きわめて広汎かつ変異に富む病変を示すため,その画一的な分類は困難である。わたくし1)は現段階においては,一応つぎのように分類するのが妥当と考えている(第1表)。
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