Japanese
English
特集 脳の奇形と発生
奇形脳と精神薄弱
Brain malformation and mental retardation, with special reference to the relationship with clinico-pathol-ogical view point
室伏 君士
1,2
Kunshi MUROFUSHI
1,2
1順天堂精神医学研究所
2順天堂大学精神神経科
1Department of Psychiatry,Fac. of Med., Juntendo University
pp.218-225
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903370
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Ⅰ.まえがき
精神薄弱(以下精薄と略記)は,一つの疾患単位ではなく,知能の遅滞を主にした病態の総称で,さまざまの原因によるものを含み,その症状・障害の有様も多彩で,脳においても幾多の病理解剖像を備えている。その病変状態の特徴による分類1)については,1)脳の形成異常による精薄,2)脳に著変のない精薄,3)胎生・周生および乳幼児早期における脳破壊プロセスによる後遺状態を示す精薄,4)代謝障害に基づく精薄,5)腫瘍性病変をもつ精薄などが挙げられる。この中で奇形脳をもつ精薄は,主として第1群の脳の形成異常による精薄に相当するが,その他すべての群も,主に胎生期に問題をもつものの一部は,多少にかかわらず脳奇形にかかわってくるものがある。
この際に,脳のように長い期間をかけて複雑に分化し形成される器官では,病理学者にとっては,形成異常Fehlbildungと奇形Missbildungはほぼ同意語として考えられている。しかし臨床家は一般に,形成異常の最重度のものを奇形として理解し,それは生命が危険か不可能に近いものを指し,これに対して形成異常とは,正常発達からのより軽度の偏異したものを称している。
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