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特集 知能とその障害
児童精神医学の立場から
知能発達と脳波
Intellectual Development and EEG
上出 弘之
1
Hiroyuki Kamide
1
1東京大学医学部分院神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Faculty of Med. Univ. of Tokyo
pp.730-733
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201697
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上出助教授はまず,厳密な診断基準によって選ばれた"外因性"と"素因性"の精神薄弱の脳波を比較し,後者ではおおむね満田教授のいわれたsub—normal群に相当することを示唆する所見がえられたことをのべられた。また知能には発達という現象があるが,これを規定する生物学的基礎へのapproachとして,種々の心理テストの成績と脳波の発達段階との相関についての研究の結果をのべられた。さらにひとつのtest batteryの因子分析を行なつた結果,とりだされた因子のなかには,脳波の発達と高い相関をもつ単純な記銘力ないし基礎的理解力に関する因子もあるが,年令と高い相関をもつ視知覚的認知に関する因子その他もあることを示され,これらの所見に基づいてひとつの作業仮説を提出された。これらの因子が個人個人の知能を決定する上に,それぞれどの程度寄与しているかという問題は将来の興味ある課題であろう。
児童精神医学は,発達期にある人間を対象とする精神医学であり,精神発達の現象は,この分野での最大の課題であるといえる。過去あるいは現在において,精神発達に関する児童精神医学的研究も数多くなされているがここではわれわれの行なつた脳生理学,とくに臨床脳波学的な知見をもとにした知能発達の研究について,述べてみたい。
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