連載 神経病理アトラス・3
脱髄性脳脊髄炎の病理—その1
白木 博次
1
1東京大学医学部脳研究所
pp.452-459
発行日 1964年6月1日
Published Date 1964/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201648
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■多発硬化症Multiple Sclerosis:境界鮮明,大小,不規則形態の脱髄巣は,大脳白質内に多発性,不連続性に好発,一部は,連続性に皮質にもおよぶが①,融合性大病巣に発展するものもある⑥。病巣は側脳室と関連深く,その体部外側隅や脳梁(↑),また後角(×)周辺に好発する①⑥。脱髄巣にはgliosisがいちじるしく,両者は陰陽両画の関係にあるが①②,皮質病巣にはgliosisを欠き,軸索や神経細胞はよく保たれる。病巣が大脳皮質表面に初発し,深部に拡散するため,その楔型の底面を脳表面におく形態をとるものもある③。また病巣は視神経,脳幹(④;橋),脊髄⑤にも広く分布する。
多相性の臨床的再燃に一致して,脂肪顆粒細胞を欠く旧病巣(↑)と,それらが血管周辺に集る比較的新鮮巣とが,隣合せにみられることがある⑦。新鮮巣は静脈管周辺に生ずるが(↑),その灌漑域とは無関係に拡散し,巣内の髄鞘は淡染するものの,その本来の構築像はまだ認められ④,多量の顆粒細胞が実質内に動員され,リンパ球浸潤が拡張した静脈周辺腔にいちじるしい(⑧↑)。
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