シリーズ最新医学講座・Ⅰ 免疫機能検査・33
アトピー性脊髄炎
小副川 学
1
,
吉良 潤一
1
Manabu OSOEGAWA
1
,
Jun-ichi KIRA
1
1九州大学大学院医学研究院附属脳神経病研究施設神経内科
キーワード:
アトピー
,
脊髄炎
,
IgE
,
全国調査
,
好酸球浸潤
Keyword:
アトピー
,
脊髄炎
,
IgE
,
全国調査
,
好酸球浸潤
pp.797-803
発行日 2003年7月15日
Published Date 2003/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101092
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はじめに
アトピーとは,ダニやスギ花粉などの環境中に普遍的に存在する抗原に対して高immunoglobulin E(IgE)応答を呈する状態をいう.これら種々のアレルゲンに対するアトピーを基盤として,気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎などのアトピー性疾患を生じる.これまでアトピーに伴って脊髄炎が起こることを指摘した報告はなかったが,われわれは成人のアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)患者で頚髄炎がみられることを明らかにした1).また脊髄炎において血清全IgEおよびアレルゲン特異的IgEが健常対照より有意に高値であることを見いだした.そこでわれわれはアトピーを基盤として脊髄に炎症を生じる病態があるのではないかと考え,アトピー性脊髄炎(atopic myelitis)との病名を提唱している1~3).本稿ではアトピー性疾患に伴い,発症する脊髄炎について概説する.
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