連載 神経化学実験法・2
脳切片を用いる実験法
黒川 正則
1
Kurokawa Masanori
1
1東京大学医学部脳研究所
pp.158-162
発行日 1964年2月1日
Published Date 1964/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201609
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切片は生体組織と同じ細胞構成をもち,また細胞膜の性質をかなりの程度にまで維持している点に特徴がある。このため代謝系としての特性は無細胞系よりもむしろ生体組織に近似しており,代謝系の全体的なバランスや膜に付随する生理的機能をしらべる場合にもつとも有利な材料である。切片の代謝は反応系の陽イオン組織や交流電気刺激によつて種々の影響をうけるが,この刺激効果は脳切片の重要な代謝的特徴であり,種々の実験におりこまれて検討されている(註5)。無細胞系では刺激効果は認められない24)。
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