Japanese
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実験講座
凍結超薄切片法
Cryoultramicrotomy
徳安 清輝
1
Kiyoteru Tokuyasu
1
1Department of Biology, University of California at San Diego
pp.252-256
発行日 1975年6月15日
Published Date 1975/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903061
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はじめに
約20年前,超薄切片法が実用化されて以来,細胞および組織の超構造に関し,膨大な情報が得られてきたが,OsO4による固定,化学溶媒による脱水,プラスチックによる包埋が,タンパク質,リピドその他の高分子に悪影響を与え1),高分子レベルでの構造解析,または,組織化学的研究への一般的応用には不適であることも,明らかになつた。したがつて,酵素の位置の同定には,包埋前に特異的重金属沈殿をおこさせ,これを切片中にみることによつて,酵素の位置を認定するという方法がとられた。
他面,そのような沈殿作用を期待できないようなタンパクその他の物質の場合,抗体2,3)またはレクチンを4)フェリチン2,4)またはパーオキシダーゼ3)でマークしたもので,標識するという方法がとられたが,これらはいずれも無処置の生体膜を透過せず,応用上の大きな制約となつた。この制約を克服するために,①凍結融解法,②水和性メタクリレートでの包埋5),③formaldehyde固定後,パーオキシダーゼと抗体の複合体を細胞へ滲透させる方法3),④ウシ血清アルブミン(BSA)に組織を包埋後切片とする方法6,7)などの数々の努力がなされたが,①,③では抗体が抗原に一様に到達する保証がないこと,②,④では抗原が包埋過程で変性されず,しかも高濃度で存在する場合に限られることなどの問題が残つている。
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