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組織切片を用いたin situ PCR法
武田 理
1
1宝酒造(株)バイオメディカルセンター
キーワード:
in situ PCR
,
組織標本
,
修飾ヌクレオチド
Keyword:
in situ PCR
,
組織標本
,
修飾ヌクレオチド
pp.696-698
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904106
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1.in situ PCR
細胞レベルでの遺伝子の解析には現在in situhybridization(ISH)が一般的に広く用いられている.かつては放射性同位元素を用いなくてはならず,操作や解像度に問題があったが,非放射性プローブと免疫化学的手法により,比較的容易に免疫染色と同程度の解像度を持つシグナルが検出できるようになった1).しかしながら,ISHの検出感度は特別なシグナル増幅法を用いない限り2)細胞当たり10~20コピーの遺伝子の存在が必要で,数コピーの遺伝子の検出には不適当なものである.こうした極めて低コピーの遺伝子を細胞レベルで解析する方法として,微量のDNAの存在を検出する方法であるpolymerase chain reaction(PCR)を組織切片上で行い,細胞レベルで標的の遺伝子を増幅し,検出を行うin situ PCRが近年行われるようになっている.このin situ PCRには,細胞内の特定の遺伝子部分を増幅しながら標識を行い,その標識部分を免疫化学的に検出を行うdirect in situ PCRと,標識を行わずに増幅を行った後,その増幅産物をISHにより検出するindirect in situ PCRがある3).前者は,増幅反応を行った後すぐに検出を行うことができ利便性があるが,ときとして目的とする標的以外のシグナルがバックグラウンドとして現れる.後者は,増幅産物をプローブにより検出するため,偽陽性の危険性は低いが,ISHの過程が加わるので操作面,条件検討面で繁雑である.
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