一頁講座
厚切片法の応用
佐藤 良夫
pp.608
発行日 1973年7月1日
Published Date 1973/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201174
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前号では厚切片標本の作り方,それを必要とする理由について記した.この標本は非常に厚い切片ではあるが,透徹が充分行なわれており核染色のアントラセン・ブルーが透光性であるため,実体顕微鏡で見れば立体的に観察し得るし,普通の顕微鏡を用いても,附属器,細胞浸潤などの状態が広い視野から観察できる.もちろん連続切片で検討するが,附属器の相互関係,全体的関係を詳細に把握するために,次のような工夫をすればさらに明らかな結果を得ることができる.すなわち,厚切片標本をプロジェクション・スクリーンに投影し,透明プラスチック板または透写紙に模型図を画く.数枚の連続切片についてこれを行ない,これらの模型図を重ねて検討する.大きな脂腺や毛嚢なども5枚前後の標本を観察することで全体の形,大きさ,相互関係が明白となる.
アルカリフォスファターゼ活性を組織化学的にみる場合,200μ位の厚切片で観察すると,小血管の分布状態がよくわかるようになる,これによつて教室の内山は,正常頭皮および円形脱毛症病巣部の血管状態を明らかにした.
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