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特集 脳波の電気発生
視葉電位の単位放電による分析
UNITARY ANALYSIS OF OPTIC LOBE POTENTIALS
及川 俊彦
1
Toshihiko Oikawa
1
1鳥取大学医学部第2生理
1Dept. of Physiology, Tottori Univ. School of Medicine
pp.259-266
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201438
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I.はじめに
魚類,両棲類,鳥類等の下等脊椎動物においては網膜からでた視神経線維は左右全交叉し,大部分の線維は外側膝状体を経ずに対側の中脳被蓋—視葉に終つている1)。視葉が哺乳動物の上丘に対比すべき脳でありながら,視覚最高中枢でありしかも大脳皮質視覚領よりはより簡単な構造をもつことは,視覚中枢機構の解明にはなはだ適当している。
眼への光刺激または視神経電気刺激によつて視葉に生ずる誘発電位に関する研究は多いが(冷血動物—Buser2)〜6),御手洗7)8),小西9)10),温血動物—Craggら12),Hamdiら13)),これらの冷血動物の実験では摘出脳が用いられ,これに反しこの研究では無麻酔の生きた鯉が用いられた。またこれまで観察された誘発電位は多数の神経要素の興奮参加によるmass responseであるが,この研究においては単位放電を対象とし,誘発電位もfield potentialとしてともに観察された。すなわち,視神経電気刺激によつて得られる視葉誘発電位と単位放電との時間的空間的関係が分析された。同様の研究が,猫大脳皮質視覚領においてなされたが(Grützner, 195814),WidenとAjmone Marsan, 196015)),これらと違い,興奮伝導速度の異なる視神経の各線維群とこれらによつて興奮させられる視葉各単位要素との関係が特に追求された。
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