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1979年,「神経研究の進歩」誌に「脳脊髄誘発電位の基礎と臨床」との主題で特集が組まれたとき,島田・中西14)は「機械的刺激による体性感覚誘発電位」という綜説を書き,及川・藤谷・山内9)は痛覚刺激による体性感覚誘発電位」と題する綜説中で本主題に関する研究の概観を行っているので,1979年頃までの研究については主なもののみに触れることにする。
その後,いくつかの重要な発表があった。すなわち,機械的刺激による体性感覚誘発電位(somatosensoryevoked potentials,SEPs)の頭皮上分布についてのIshikoら3),Pratt & Starr10)またKakigi & Shibasa—ki5)の研究である。また機械的刺激によるSEPs中,短潜時成分についての遠隔電場電位(far field potential,FFP)としての分析,あるいは末梢神経活動電位と対応させての検討についてのPrattら11)やShieppati & Du—cati15)の発表もある。さらに皮膚に機械的刺激を与える場合,生ずる皮膚感覚には原感的(protopathic)な触・圧感覚か痛覚・温度覚や識別的(epicritic)な触・圧感覚のいずれかが生ずることになるが,一般に機械的刺激による誘発電位を問題にするときは,触・圧の刺激あるいは痛刺激によるものを対象とすることが多い。しかし,触刺激によっても痛刺激によっても得られる体性感覚誘発電位には違いが見られないことが,Yamauchi,Fujitani & Oikawa18)またKakigi & Shibasaki5)によって確実にされたことも注目に値する。覚醒したサルにおける体性感覚皮質領野に関する実験的研究もいくつか発表されたが,皮膚の機械的刺激による誘発電位と皮質単一神経要素放電との関係などを追究したGardnerら2)の研究も興味深い。
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