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特集 低体温法
〔11〕脳外科領域における低体温法
HYPOTHRMIA IN NEUROSURGERY
鈴木 二郎
1
Jiro Suzuki
1
1東北大学医学部桂外科
1Dept. of Surgery, Tohoku Univ. School of Medicine
pp.1127-1130
発行日 1962年12月1日
Published Date 1962/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201385
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脳外科領域における低体温麻酔の利害得失については桂教室においても,各方面から検討してきたが,しかしすでに橋場教授が,きわめて広範囲の実験報告をされているし,また私に与えられたスペースも少ないのでその全部を述べることはできない。そこで今回は,抄録のほんの一部分だけになるので誠に申しわけないのであるが臨床例における経験を中心にして,述べてみたいと思う。
そもそも低体温法が脳外科に応用されたのは,脳組織代識を低下させて,手術侵襲に対する生体反応をできるだけ少なくして手術を行ない,手術後の不快な合併症を少なくさせること,またできるだけ出血を少なくして,または脳血流を遮断した状態で手術を行ない得るようにすること。それから脳圧をさげ脳浮腫を減少させて,手術操作を容易にすること,術後の中枢性過高熱に対して神経遮断剤を併用して,その防止をすること。最近では頭部外傷あるいは脳卒中時に低温麻酔をやつて,生命を延長せしめ,2次的脳組織変化をできるだけ防ぎ,治療法として,あるいは,手術までの時間を獲得する方面にまで,応用されつつある(第1表)。
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