特集 低体温法
〔12〕総括
桂 重次
1
,
植木 幸明
2
,
荒木 千里
3
1東北大外科
2新潟大脳外科
3京都大外科
pp.1131
発行日 1962年12月1日
Published Date 1962/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201386
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シンポジアム「低体温法」総括
脳外科領域における低体温法は,意味が二つあり,脳外傷あるいは過高熱に対する治療的持続低体温と手術を対象とする低体温麻酔の二つであると思う。低温に用いる温度は,だいたい30℃ないし28℃前後が限界であるが,教室の渡辺は犬を用いてエーテル麻酔でずつと温度をさげることに成功した。10℃台までさげて,1時間以上の血流遮断などにも耐えるということをドイツ学会で発表したのである。これが契機になつて,近頃は体外循環に用いる低体温法が非常に流行し,今はそういう時代だと思うのである。従つてこの低体温法もいろいろな方法が用いられており,現在どれがいいというようなところまではまだ行なつていないようであるが,いずれこれからの問題だと思う。
第1の橋場教授の演説に対してはいろいろ問題があろうと思う。ことに脳外科領域において,脳の血流遮断を比較的長時間危険なく行なえるとすれば,脳外科にとつて非常に大きな進歩が期待できることと思う。この演題に引き続き,初めにこの低温の脳に対する作用機序というような問題をとりあげ,ついでいろいろ低温にする技術方法などに関する演題を行なつた。
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