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特集 低体温法
〔8〕頭部外傷に対する部分体外補助循環による急速冷却の実験的研究
EXPERIMENTEL STUDIES ON RAPID COOLING METHOD ON HEAD INJURY
中山 耕作
1
,
黒田 晃司
1
,
山本 勲
1
,
伊野 照子
1
,
今野 草二
1
,
田中 亮
2
Kosaku Nakayama
1
,
Koji Kuroda
1
,
Isao Yamamoto
1
,
Teruko Ino
1
,
Soji Imano
1
,
Ryo Tanaka
2
1東京女子医科大学外科
2東京女子医科大学麻酔科
1Dept. of Surgery, Tokyo Women's Medical College
2Dept. of Anethesiology, Tokyo Women's Medical College
pp.1107-1120
発行日 1962年12月1日
Published Date 1962/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201382
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I.緒言
近年交通機関の発達による事故発生増加に伴い頭部外傷がいちじるしく増加してきた。そのうち高度の頭部外傷では外科医のところに運ばれる途中に死亡する者,または外科医のところに運ばれてもほとんど,なんらなすことなく数時間以内に死亡するような重症例にわれわれはしばしば遭遇するのである。従つてこのような重篤例に対する治療の手段としていかにしたら危険なく生体の機能を確保できるかが,原則的かつ重要な問題となる。
生体機能の点からは生体を冷却することによつて体温を下降せしめ,さらに"ふるえ"に対しては適当なる麻酔により防げば,生体組織の基礎代謝率は低下し直腸温に比例して減少すること,さらに組織の無酸素症に対する抵抗力の増大する事実は,いわゆる低体温法として古くから米国のBingelow1)〜2), Swan6)7)8)によつて証明され,一方フランスのRaborit9), Hugnnardらはphenoziazine誘導体のような自律神経遮断剤を用いたいわゆる薬物冬眠法を研究している。わが国においては1953年頃からこの方面の研究が盛んになり奥田10)11)12),桑原13)14),山村15)〜19),その他は薬物冬眠を,羽田野20)〜23),田口24)25),堺26)〜28),武藤29)30),渡辺31),中山32)〜35)は主として物理的冷却による低体温法について検討してきた。
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